空色硯 sorairo-suzuri

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<<   作成日時 : 2008/07/05 14:20   >>

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それはそれとして。


はやてはシュベルトクロイツを取り出した。

「なのはちゃんもユーノと上手くいってないっちゅー話、この前聞いてな」
「そんな噂があったんですか。――――本人の耳に入ったら、問答無用でお星様ね」
「せやな」

そう、お星様。
うっかり口を滑らしたはやては、訓練場で数時間逃げ回る羽目になった。
最後はザフィーラを身代わりに脱出を試みたのだが、

「結局、まとめてお星様やったわ」

天高く打ち上げられると、空の青さが目に沁みて痛い。

二日間ほど寝込んだのに、その間の仕事は誰も引き受けてくれなかった。
みんな薄情である。


「……で、噂の出所はシャーリーでな」
「懲りないですね、あの子」
「どっから聞いたんか、問い詰めたんよ」

いつの間にか起動したデバイスの穂先が、シャマルの首筋にぴたりと当てられる。

「誰やったと思う?」
「さあ? 想像もできません。悪趣味な噂を流す人もいるものねー」
「ええ度胸や」

はやては、にっこりと微笑んだ。すでに騎士甲冑は装着済み。

「幸いなことに、前は海や。首を洗うには事欠かん」
「実は、わたしもある噂を耳にしたの」

シャマルは平然と続ける。

「どないな?」
「聞きたいですか? とある管理局員の話なんですけど」
「ぜひ聞かせて欲しいわ。さぞや面白い――」



「……ある医務官が見合いをする直前、相手にあることないこと吹き込んで、ぶち壊しにしたそうです」







「!」
判断は一瞬。

だが、それでも一歩遅かった。
全力で後退しようとした彼女の杖は、相手の腕に握られている。

(びくともせえへん!?)

万力に掴まれたような手応えに、はやては戦慄する。

「ちょお待ち! あることないこと言うんは誤解や! シャマルの良いトコを教えに行っただけで」
「家事が一切出来ないとか、言ったそうよね?」
「そら、あることのうちやん!」
「男に餓えてて、いっつも医務室で人に言えないような事してるとか」
「いや……それはその……そや! 色っぽい保健の先生って感じがするやろ!?」

念話でリインを呼んだが応答無し。
どうやら逃げたらしい。当たり前だが。

「アピールやアピール。な?」
「ふうん、そういうこと言うんだ。じゃあやっぱり、伝えなくて良かったわね」
「おわっ!?」


「実はですね」
唐突に杖から手を離すと、シャマルは白衣を翻して腕を組んだ。

「今日はクラウディアが入港してるんです」
「な!? 予定は明後日になっとるはず――」

と、口にしてから気付く。この情報を自分に伝えたのは誰だったのか。


ついでに、もう一つ思い出した。
クロノ提督に同行していた誰かさんは、陸に上がった直後はたいてい暇している。

(とすると……あかん! 今頃はシスターが抜け駆けしとるかもしれへん)

ぎぎぎと歯を食いしばる。

「謀りよったな」
「それはこっちの台詞です。いくら先を越されそうになったからって、ちょっと卑劣よね?」
「それこそこっちの台詞や」

問答無用の広域殲滅魔法を唱え始めたSSクラス魔導師と、黒い笑みを浮かべて『旅の鏡』を使う湖の騎士。

「って、なんでリインを巻き込むんですかーっ!?」

強引に引っ張り出されたリインが、じたばたと暴れる。

「ユニゾンよユニゾン。まさか、わたしとだけは嫌なんて言わないわよね?」
「いーやーでーすーっ! 往生際が悪いですよシャマル!」
「じゃあ盾代わりね」
「なんでそうなるんですかっ!?」

どっちにしろ、このままではこの辺り一帯壊滅である。



が。

「すたあああらいとおおぉ――――」



「ええっ!?」
「なんやて!?」
すぐそばから聞こえたのに、はやてとシャマルは慌てて上空を見上げていた。
条件反射とは、かくも怖ろしい。

直後に間違いに気付いたが、時既に遅く。
真後ろに立ったのは、見事な構えの四番打者。
「「しまっ……」」



「ぶれいかああああ――――っ!!!」

オプティックハイドの恩恵から解き放たれたスバルの、本家よりも気合いの入った声が響き。
振り抜かれた赤バットが、二人を海に叩き込んだ。



……巻き添え一名。

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